パン作りQ&A
材料について
2022/12/11
こんにちは。吉永麻衣子です。私のパン作りに必要な材料についてご紹介します。
自宅にある材料で作りたい
私のパン作りは「忙しいママも毎日焼けるパン」をテーマにしています。 ですので、材料もなるべく自宅にあるもの、近所にあるスーパーマーケットで手に入る食材を使うようにしてレシピを作っています。特別な材料は使いません。 私のパンは全国どこにいても手軽に焼けるもの、焼きたくなるものでありたいです。
例えば牛乳。 パンのレシピを見るとスキムミルクを使っているものが多いのですが、私は牛乳を使います。おうちの冷蔵庫に牛乳なら置いている、という方が多いと思います。 どうしても「ここのこれでないと!」というときは、そのように書くようにしていますが、それは贅沢レシピ、別枠として捉えています。クリスマスのシュトレンなんてその類ですね。
パン生地に使う材料はとってもシンプル! 強力粉、塩、砂糖、酵母(イースト)、水、油脂。今日は、普段わたしががそれぞれどんなものを使っているのか、ご紹介していきます。
その1.強力粉
小麦粉の中でタンパク質量の多い強力粉を主に使います。タンパク質は、水を加えて圧力をかけるとグルテンといって団子状になります。それがパンの素です。
薄力粉だとタンパク質が少なく、水分を加えてこねてもつながりが弱く、かさ高いパンになりづらいですが、パンにはなります。コロナ禍で強力粉がスーパーの棚から消え、薄力粉で焼くレシピを出しました。パンになるんだ・・・!と私にとっても大きな発見でした。
薄力粉を少し加えてタンパク質の量を調整してあげると軽くて食べやすいパンになったりもします。主には強力粉、ですが薄力粉もブレンドして使います。
また、 同じ強力粉でも産地によりいろいろです。大きくは海外のものと国産に分けてとらえることが多いです。どちらが良い悪いではなく、どんなパンを作りたいのかで選ぶと良いと思います。そのためには粉の特徴を知っておく必要があるので、はじめての方には難しすぎます。
私は初心者の方には国産だと『春よ恋』をお勧めすることが多いです。スーパーで手に入る強力粉は外国産のものが多いと思いますが、これも扱いやすいと思います。少し扱いにくさはあるのですが、私が常備しているのは北海道産の「はるゆたかブレンド」です。
国産の粉も銘柄がいろいろあります。 お米でいうところのコシヒカリやササニシキにあたるものです。まだまだ日本の小麦粉は海外からの輸入に頼っているところが大きいのですが、国産の強力粉は産地や銘柄によって全く違うパンが焼きあがるので、使い始めるととてもおもしろいです。(最初はベトベトしたりして失敗することもあるので、楽しいなんて思えないかもしれませんね) 最終的には、「私の家族はこの粉で焼いたドデカパンが好きなのよ!」なんて言えたらちょっとマニアックで楽しいですね。
その2.塩
塩はパンには必ず必要な材料なので分量通り入れてください。 食卓塩でもパンにはなりますが、ミネラルがたくさん入ったこだわりの塩だと、よりパンの味はとてもおいしくなります。 こだわったところで数百円なので、こだわりの塩、使ってみてください。シンプルなパンであればあるほどおいしさが分かります。
塩はうまみのためだけでなく、パンの骨格をしっかりと立たせる働きがあります。 入れないと、 びっくりするくらい味気のない頼りない雰囲気のパンになります。それはグルテンがしっかりしておらず、横にだれたような生地になるためです。塩の働きはすごいです。発酵過多を止める働きもあります。
その3.砂糖
砂糖は入れなくてもパンにはなります。 でもなぜ入れるのか? 焼き色をつけたいためがひとつです。砂糖が焦げてパンの焼き色となり、そこからよい香りがします。
もうひとつの理由は、発酵を安定させるためです。糖分はイーストのエサになります。冷蔵庫で5日間おいしい状態で置いておこうと思うと、ある程度生地の中にエサを入れておいてあげる必要があります。なくなると焼き上がりは焼き色がつかず、味気ないパンになります。
あとは、甘いパンにしたいため。私のパンの多くは砂糖が8%以下の配合なので、食べてすぐに「甘い!」とわかるパンは少ないと思います。
砂糖の種類はいろいろありますが、パン生地にいれるものはきび糖を使うことが多いです。 メロンパンに使うクッキー生地やスイートブールのパウンドケーキ生地に使うのはグラニュー糖が多いです。粉砂糖でもおいしく焼くことができます。 砂糖の代わりに、はちみつやメープルシロップを使うこともあります。これは仕込み水にきれいに溶いて使います。
その4.酵母
主にインスタントドライイーストを使います。フランスのサフという会社の赤いラベル物のが今のところおすすめです。 天然酵母の顆粒状のものなど、見た目が同じものが売っていますが、冷蔵庫の温度では発酵が進みづらいものが多いと思います。私のレシピそのままではお使いいただけませんのでご注意ください。
自家培養酵母についても少しふれておきます。 私のレシピにある「ちょい足し酵母」。 これは自然にある酵母を増やして使っているものです。 自家製酵母という言葉が一般的なので使っていますが、本当は「自家培養酵母」と表現するのが正しいと思います。何も酵母を作り出しているのではなく、ただ良い環境を作ってあげて増やしているだけのことです。 私は、ペットボトルを使って液種(酵母を増やした液体)を作ります。「身近にあるもので簡単に!」がいいですよね。
その5.油脂
油脂はなくてもパンにはなります。 私は主にバターを使いますが、パンに使う油脂は固形のものだとバター、ショートニング、ラードなどがあります。液体の油脂だとオリーブオイルや太白ゴマ油などでしょうか。場合によって生クリームやマヨネーズに油脂の働きを期待することもあります。
いずれも入れると生地がふんわりしてボリュームが出て、くちどけの良いパンになります。固形のもののほうが空気を抱き込んでいるためにふんわりします。液体のほうがやさしいボリュームです。 ふんわり焼きたいとき、簡単にするなら油脂を入れてくださいとお伝えしています。もうひとつふんわりする方法は、仕上げ発酵を長くとることです。 スティックパンなど子どもが食べるパンは、私は歯ごたえがあっても良いと思っているので、油脂はなるべく入れずに仕上げ発酵で調整をしています。
その6.仕込み水
水、牛乳、卵、生クリーム、ジュースなどを使います。水さえ入ればパンにはなりますが、牛乳や卵をブレンドすることで風味や膨らみ、焼き色が変わってきます。 おおざっぱに言えば、100gの粉に対して70g程度の水が入ればいいのですが、その内訳は自由です。
牛乳は一般的な牛乳を使っています。無脂肪や低脂肪でもパンにはなり、焼き色はつきますがふんわりする感じは減るかもしれません。牛乳の中にある乳糖という糖分はイーストのエサになりにくいため、5日間冷蔵庫においても生地の中に残るのだそう。 そのため良い焼き色が付き、おいしい香りが生み出されます。
まずはスーパーで買える材料でチャレンジしてみてくださいね!